公益法人制度改革3法

平成20年12月1日に公益法人制度の改革を目的とする以下の3法が施行されました:

一般社団・財団法人法(一般財団法人及び一般財団法人に関する法律) 

公益法人認定法(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律)  

関係法律整備法(一般財団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律) 

3法における公益法人

新たな法人の形態


上記3法により、以下の5つのケースに関する手続が整備されました:

一般社団・財団法人法に基づき、新たに一般財団法人・一般財団法人を設立する。

平成20年11月30日までに設立された旧民法34条に基づいて設立された公益法人(特例社団法人・特例財団法人)は、平成20年12月1日から5年以内に行政庁(内閣総理大臣又は都道府県知事)の公益認定を受け、公益法人認定法に規定された公益社団法人又は公益財団法人となることができる。

上記2の特例社団法人・特例財団法人は、移行期間内に行政庁の認可を受け、一般財団法人・一般財団法人となることができる。

旧中間法人法により設立された有限責任中間法人は、一般社団法人として存続するものと看做される。

一般財団法人・一般財団法人は公益認定を受け、公益社団法人又は公益財団法人となることができる。

制度改革のポイント

新たに一般財団法人・一般財団法人を設立する場合


■ 一般社団法人の設立


1.手続の流れ
定款作成→公証人による定款の認証→理事・監事・代表理事の選任等(定款で定めなかった場合)→設立登記申請

2.一般社団法人の型
(何れも、2名以上の社員(株式会社の株主に相当)で設立できる)
① 普通法人型(会費収入・寄附金収入を含む全ての収入に課税)
・収益事業を主な収入源とする場合に適している。
・定款で「社員に剰余金の分配を行わない」旨を定める。(収益事業で利益を得ること、従業員給与・役員報酬を支払うこと等は、当然可能である)
・法人の機関設計は、理事会非設置型(理事1名以上)または理事会・監事設置型(理事3名以上・監事1名以上)となる。(理事:株式会社の取締役に相当 監事:株式会社の監査役に相当 代表理事:株式会社の代表取締役に相当)

*理事会を置く場合には、監事は必須となる。理事会を設置せずに監事を置くこともできる。

② 非営利法人型(NPOと同様に収益事業のみに課税
・会費収入・寄附金等を主な収入源とする場合に適している。
・定款で「社員に剰余金の分配を行わない」及び「解散した場合に残余財産は公益法人等に帰属する」旨を定める。
・三親等以内の親族関係にある理事の数が理事全員の三分の一以下であること。
・業界団体・資格者団体・同窓会等が共益的事業を行うときは、(1)定款で「入会金・会費等の額を社員総会で定める」旨を定め、(2)定款に「特定の個人又は団体に剰余金の分配を受ける権利を与える」旨の定めがなく、(3)収益事業を主な事業としていないこと。
・法人の機関設計は、理事会非設置型(理事3名以上)または理事会・監事設置型(理事3名以上・監事1名以上)となる。

③ 公益社団法人への移行型(移行後は法人税・登録免許税等で大幅な優遇措置)
・主たる事業が公益目的事業である場合に適している。
・設立後に公益認定を受ければ、公益社団法人となる。
・定款で「社員に剰余金の分配を行わない」及び「解散した場合には残余財産は公益法人等に帰属する」旨を定める。
・法人が主に行う事業が「公益目的事業」(不特定多数の利益に寄与する)であること。
・社員・会員が入社・入会するための条件をつけない。
・定款で「社員総会の議決権が平等(一人一票)である」旨を定める。
・定款で理事・監事の親族関係等の制限を定める。
・定款で「入会金・会費等の額を社員総会で定める」旨を定める。
・法人の機関設計は、理事会・監事設置型(理事3名以上・監事1名以上)となる。
・監事には、公認会計士・税理士等の資格者又は法人経理の経験者を選任する。
 
3.必要書類
・社員全員の印鑑証明書
・理事会を設置しないとき:理事全員の印鑑証明書
 理事会を設置するとき: 代表理事の印鑑証明書

4.費用
 公証人手数料 ¥50,000
 登録免許税  ¥60,000


■ 一般財団法人の設立


1.設立の手続
① 手続の流れ
定款作成→公証人による定款の認証→評議員・理事・監事・代表理事の選任等(定款で定めなかった場合)→財産の拠出→設立登記申請

② 定款の要記載事項
・目的
・名称
・主たる事務所の所在地
・設立者の氏名又は名称及び住所
・設立者が拠出する財産及びその価額
・評議員・理事・監事の選任に関する事項

・遺言による設立もできる。
・設立時に設立者が拠出する財産の合計額は300万円以上でなければならない。
・理事又は理事会が評議員を選任し又は解任するという方法は許容されない。
・設立者が剰余金又は残余財産の分配を受けることはできない。

2.必要書類
・社員全員の印鑑証明書
・代表理事の印鑑証明書

3.費用
 公証人手数料 ¥50,000
 登録免許税  ¥60,000

旧民法34条に基づいて設立された特例社団法人・特例財団法人から公益認定を受けて公益社団法人・公益財団法人に移行する場合


1.移行まではそのまま存続可能
従来の公益法人(旧民法34条の社団法人・財団法人)は、公益認定・認可を取得して公益社団法人・公益財団法人に移行するまでは、現行の寄附行為・定款はそのまま有効であり、特例社団法人・特例財団法人として従来とおり存続します。

2.公益認定の要件
公益目的事業を行っていること
公益目的事業:学術・慈善等の公益に係る23種類の事業であって、不特定多数の利益の増進に寄与するもの
法人運営・事業活動・法人の機関・法人の財産等に関する18項目の基準に合致していること

3.移行前に機関を変更する場合
特例社団法人・特例財団法人が、公益社団法人・公益財団法人に移行する前に、機関を一般社団・財団法人法に適合するものに変更することもできます。この場合には、機関を変更する前に寄附行為・定款の変更の認可を従来の主務官庁に申請することになります。この場合は、「機関の変更→、公益社団法人・公益財団法人に移行」という二段構えの手続になります。なお、特例財団法人で寄附行為の変更に関する規定がない場合には、理事の定める方法により、寄附行為変更に関する規定を新たに設ける寄附行為変更の認可申請を予め主務官庁に行う必要があります。

4.定款変更案を添付して公益社団法人・公益財団法人への移行の認定を申請
定款変更の案の機関決定→最初の役員等選任→申請書・別表・添付資料作成→オンラインで申請→面談→オンラインで補正→公益認定委員会に答申→答申→認定書交付→登記

旧民法34条に基づいて設立された特例社団法人・特例財団法人から行政庁の認可を受けて一般社団法人・一般財団法人に移行する場合


移行認可の基準
①定款の内容が一般法に適合するものであること
②移行時の純資産に公益目的財産がある場合は、公益目的財産額を公益目的のために消費して行く計画(公益目的支出計画)を提出すること

一般社団法人・一般財団法人から公益認定を受けて公益社団法人・公益財団法人に移行する場合


定款変更の案の機関決定→申請書・別表・添付資料作成→オンラインで申請→面談→オンラインで補正→公益認定委員会に答申→答申→認定書交付→登記