03.業務解説/帰化手続・帰化手続(Q&A)


帰化手続

1.帰化とは


 現在有している国籍を離脱し、別の国籍を取得することを帰化といいます。日本政府は、単なる届出による帰化を認めておりません。帰化により日本国籍を取得するには、単に帰化の意思を有しているだけでは不十分であり、一定の「帰化の要件」を具備していなければなりません。その上で、法務大臣に帰化許可の申請をします。

2.帰化の要件 一般原則



①住所要件


 引き続き5年以上日本に住所を有している必要があります。この要件は、申請時及び認定時に満たしていなければなりません。「住所を有している」とは、原則として6ヶ月以上の在留期間を付与された在留資格を有し、日本に生活の拠点があり、かつ6ヶ月以上在留していることを意味します。従って、短期滞在の在留資格から帰化を申請することはできません。また、留学の在留資格者は、日本に生活の拠点があるとは認められないので、単独での帰化申請はできません。在留資格を留学から就労に変更した場合には,就労に変更後3年以上経過していることが条件となります。

②能力要件


 20歳以上であり、かつ本国法により能力を有することが必要です。

③素行要件


 素行が善良でなければなりません。すなわち、きちんと税金を納付し、原則として前科・前歴がないことが必要です。前科とは、執行猶予を含む懲役・禁固・罰金の有罪判決を受けたことであり、前歴とは逮捕され起訴猶予の処分を受けたこと等を意味します。運転免許保持者については、業務上過失傷害等の刑法違反及び制限速度オーバー等の道路交通法違反について、その時期、態様及び回数が問題となります。前科・前歴がある者については、一定の期間を経過しており、かつ充分に反省し再犯のおそれがないことが必要です。

④生計要件


 自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能により生計を営むことができることが必要です。従って、生活保護を受けている場合には、生計能力を欠いています。

⑤重国籍防止要件


 原則として、無国籍であるか又は日本国籍の取得により原国籍を喪失・離脱することが必要です。従って、原国籍国の法律が、日本に帰化したときには原国籍を喪失すること、又は日本に帰化する前に原国籍を離脱することを認めていなければ、日本に帰化することはできません。但し、日本に帰化する意思があるにもかかわらず原国籍を喪失・離脱することができない場合でも、法務大臣が日本国民との親族関係又は境遇について特別な事情があると認めるときは、日本への帰化が許可されます。「日本国民との親族関係」とは、日本人の配偶者・子等を意味し、「境遇」とは難民等特に人道上の配慮を要する場合を言います。

⑥思想要件


 日本国憲法又は日本政府を暴力で破壊することを企図・主張するか、又は企図・主張する団体を結成し若しくは加入したことがないことが必要です。

⑦日本語能力要件


 日本人の小学2年生以上の読み書き能力があることが要求されます。

3.帰化の要件 特例



①日本国民であった者の子(養子を除く)で引き続き3年以上日本に住所又は居所を有する者


 「日本国民であった者」とは、嘗て日本国籍を有していたが、帰化申請の時点で日本国籍を喪失している者を意味します。この対象者は、上記2-①の要件が「5年→3年」に緩和されます。但し、②~⑦の要件は満たさなければなりません。

②日本で生まれた者で、引き続き3年以上日本に住所又は居所を有し、又は父若しくは母(養父母を除く)が日本生まれの者


 この対象者は、上記2-①の要件が「5年→3年又は0年」に緩和されます。但し、②~⑦の要件は満たさなければなりません。

③引き続き10年以上日本に居所を有する者


 この対象者は、上記2-①の要件が不要となります。但し、②~⑦の要件は満たさなければなりません。「居所」とは、継続して居住しているものの生活の本拠というほどその場所との結びつきが強くない場所のことをいいます。

④日本人の配偶者である外国人で、引き続き3年以上日本に住所又は居所を有する者


 この対象者は、上記2-①の要件が「5年→3年」に緩和され、2-②の要件が不要です。但し、③~⑦の要件は満たさなければなりません。

⑤日本人の配偶者である外国人で、婚姻の日から3年を経過し、引き続き1年以上日本に住所又は居所を有する者


 この対象者は、上記2-①の要件が「5年→1年」に緩和され、2-②の要件が不要です。但し、③~⑦の要件は満たさなければなりません。

⑥日本人の子(養子を除く)で日本に住所を有する人


 この対象者は、上記2-①の要件が「5年→6ヶ月」に緩和され、2-②・④の要件が不要です。但し、③及び⑤~⑦の要件は満たさなければなりません。

⑦日本人の養子で引き続き1年以上日本に住所を有し、縁組のときに本国法上未成年であった者


 養子縁組後に養親が日本国籍を取得した場合も含まれます。この対象者は、上記2-①の要件が「5年→1年」に緩和され、2-②・④の要件が不要です。但し、③及び⑤~⑦の要件は満たさなければなりません。

⑧元日本人(日本に帰化した後に日本国籍を喪失した者を除く)で日本に住所を有する者


 この対象者は、上記2-①の要件が「5年→6ヶ月」に緩和され、2-②・④の要件が不要です。但し、③及び⑤~⑦の要件は満たさなければなりません。

⑨日本で生まれ、かつ出生のときから無国籍で引き続き3年以上日本に住所を有する者


 この対象者は、上記2-①の要件が「5年→3年」に緩和され、2-②・④の要件が不要です。但し、③及び⑤~⑦の要件は満たさなければなりません。

4.帰化許可と永住許可の相違


 帰化により日本国籍を取得した場合には、自己の意思により日本国籍を喪失・離脱する場合を除いて、公権力により帰化の許可を取り消されたり、日本国籍を剥奪されたりすることはありません。これに対して、永住者の在留資格を取得しても外国人であることに変わりはありませんから、過去において日本に不法に入国したことが露見した場合や永住許可後に重大な罪を犯した場合には、永住許可の取消、退去強制等の行政処分がされることがあります。

5.帰化申請の手順


 一般的なケースでは、概ね以下の手順となります。帰化申請が受理されてから決定が出るまでは半年~1年を要します。

 ①住所地を管轄する地方法務局又は支局の国籍課に電話をして、帰化の相 談を予約する。
 ②旅券と外国人登録証を持参して法務局へ行く。
 ③相談の上、法務局の担当者が帰化申請の可能性があると判断すると、必要書類が指示され、次回の相談日が予約される。
 ④日本語能力について疑義があると、法務局の担当者の面前で本国の両親宛の手紙を日本語で書くというような試験が実施される。日本語能力不足が原因で帰化申請を断念する場合が多いので、要注意。
 ⑤二度目の相談日に、収集した書類を法務局の担当者に提示する。申請日を予約する。
 ⑥帰化後の姓名を決め、申請書類を作成する。申請書類と添付書類は、全て原本とコピー1部が必要である。
 ⑦申請日に、法務局の担当者へ全ての書類を提出し、申請書に署名する。

6.行政書士の役割


 在留資格に関する手続は法務省入国管理局が統括し、申請書はその下部組織である地方入国管理局へ提出します。入国管理局への手続は、行政書士、弁護士等が代行することができます。帰化の手続は、法務省民事局が統括しており、申請書はその下部組織である地方法務局に提出します。法務局への手続は、行政書士、弁護士等が代行することができません。行政書士は、相談、必要書類の収集、翻訳、申請書類の作成及び法務局への同行により、帰化申請をサポートします。